買ってきた牛肉から独特の臭みがして困ったことはありませんか。
臭みの原因は部位や飼料、保存状態によって様々で、そのままではせっかくの料理が台無しになります。
この記事では家庭で手軽にできる牛肉の臭みを取る方法を、原因別や部位別にわかりやすく紹介します。
塩もみや牛乳漬け、重曹処理、短時間の湯通しなど、時間や素材に応じた実践テクニックと分量・時間の目安もまとめました。
すぐ試せる短時間の対処法から下処理の詳しいコツまで、実践的に解説しますのでぜひ続きをご覧ください。
牛肉の臭みを取る方法

牛肉の臭みは下ごしらえでかなり軽減できます。
部位や調理法に合わせて適切な方法を選ぶと仕上がりがぐっと良くなります。
塩もみ
塩をふって軽くもむと表面の余分な汚れや血合いが取れやすくなります。
塩は肉の表面に均一に振り、手のひらで優しくこするようにもみます。
もんだ後は数分置いてから流水で洗い、キッチンペーパーでしっかり水気を取ってください。
塩もみは短時間で効果が出るので、時間がないときにも便利です。
酒・ワイン漬け
料理酒や赤ワインに漬けるとアルコールが臭みの成分を溶かして落としやすくなります。
漬ける時間は切り身なら15分から30分、厚切りやブロックなら1時間程度が目安です。
漬けた後はキッチンペーパーで軽く拭いてから調理すると風味が残りやすくなります。
香り付けしたいときはニンニクやハーブと一緒に漬けると相性が良いです。
牛乳・ヨーグルト漬け
牛乳やプレーンヨーグルトは肉の臭みを吸着し、やさしくタンパク質を分解して柔らかくします。
ミンチや薄切りは30分程度、塊肉は1時間から数時間を目安に漬けてください。
漬けた後はよく拭き取るか軽く洗ってから加熱することをおすすめします。
ヨーグルトは酸性で程よくマリネ効果があるのでステーキや焼き物にも向いています。
重曹・炭酸水処理
重曹はpHを上げて臭いの元を中和する働きがあり、短時間で効果が出ます。
使いすぎると石鹸のような風味が残るので量と時間に注意が必要です。
炭酸水は表面の汚れを浮かせる効果があり、軽い臭み取りに向いています。
使用後は必ず流水でよく洗い、塩や酸性のマリネで風味を整えてください。
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すりおろし玉ねぎマリネ
玉ねぎに含まれる酵素が肉をやわらかくし、臭みを和らげます。
すりおろした玉ねぎに少量の塩や醤油を混ぜて肉に塗り、30分から1時間置いてください。
長時間漬けると玉ねぎの風味が強くなるので使い分けが大切です。
仕上げに軽く焼くと甘みと香りが引き立ちます。
生姜と長ねぎの下茹で
生姜と長ねぎを入れて下茹ですると血の臭いや生臭さが取り除かれます。
熱湯で短時間茹で、出てきたアクをしっかり取り除くことがコツです。
茹でた後は冷水で表面を落ち着かせ、余分な水気を拭き取ってから調理します。
和風の煮物や鍋料理に特に有効な下ごしらえです。
ハーブ・スパイス活用
ハーブやスパイスは臭みをマスキングするだけでなく風味をプラスします。
使い方は肉に擦り込んだりマリネ液に加えたりするのがおすすめです。
- ローズマリー:独特の香りで赤身に合う
- タイム:繊細な風味で臭みを抑える
- ローリエ:煮込みによく合う
- ブラックペッパー:加熱で香りが立つ
- クローブや八角:強い臭みをカバーする調味に向く
ホールスパイスは軽く煎ってから使うと香りが立ちます。
ハーブ類は新鮮なものを使うとより効果的です。
牛肉の臭みの主な原因

牛肉の臭みは複数の要因が絡み合って発生します。
原因を知ることで調理や保存での対策が立てやすくなります。
飼料(牧草)由来の香り
牛の餌によって肉に残る香りの傾向が変わります。
牧草やサイレージ、穀物などそれぞれ特有の風味があり個体差も出ます。
- 牧草の青草臭
- サイレージ特有の酸味
- 穀物飼料の甘い香り
- 飼料の切替時に出る香りの変化
脂肪の酸化
脂肪が酸化すると嫌な匂いや風味の劣化が起こります。
とくに不飽和脂肪酸が多い部位は酸化しやすく臭みが出やすいです。
高温や光、空気に触れる時間が長いと酸化が進行します。
対策としては低温保存や密閉、調理前に余分な脂を取り除くことが有効です。
冷凍焼け
冷凍焼けは肉の表面が乾燥して風味が落ちる現象です。
表面の水分が失われることで酸化が進み、嫌な匂いが強くなることがあります。
早めに使い切ることやしっかりと包んで冷凍することが冷凍焼け防止になります。
真空パックやラップで空気に触れさせない保存が効果的です。
保存環境からの臭移り
冷蔵庫や冷凍庫内の他の食品から匂いが移ることがあります。
開封状態の調味料や匂いの強い食材が近くにあると臭みを感じやすくなります。
密閉容器を使う、肉を個別に包む、冷蔵庫内を定期的に清掃するなどが有効です。
冷蔵庫内の温度管理の乱れも臭みの原因になるため注意が必要です。
部位ごとの脂質と風味の違い
部位ごとに脂肪の入り方や風味が大きく異なります。
脂肪が多い部位は風味が濃厚になる一方で脂の酸化による臭みも出やすいです。
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短時間で牛肉の臭みを取る方法

手早く牛肉の臭みを抑えたいときに使える実践的なテクニックをまとめます。
調理時間を大きく延ばさずにできる方法だけを厳選して紹介します。
塩もみ(短時間)
肉の表面に塩をふって軽くもむだけで表面のにおい成分や余分な水分を取り除けます。
塩は多すぎると味が濃くなるので一枚当たり小さじの半分程度を目安に短時間で行ってください。
- 表面の水分除去
- 臭み成分の除去
- 短時間で効果
- 塩分注意
もんだ後はペーパータオルで水分を拭き取り、そのまま焼くか軽く洗ってから調理してください。
湯通し(さっと茹でる)
沸騰した湯に短時間くぐらせることで表面の臭みを素早く落とせます。
茹ですぎると旨味も流れるので30秒から1分程度さっと行うのがポイントです。
目的 | 目安時間 | 効果 |
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湯通し後は冷水でさっと冷やすかペーパーで水分を拭き取り、次の調理に移ってください。
炭酸水短時間漬け
炭酸水に短時間漬けると炭酸の泡が汚れやにおいの元を浮かせやすくなります。
目安は5分から15分程度で長時間漬けすぎないことが重要です。
漬けた後は軽く水で洗い流すかペーパーで水分を拭き取ってから調理してください。
強火での焼き目付け
高温で表面を素早く焼き固めると臭い成分を封じ込め、風味を良くできます。
フライパンやグリルを十分に熱してから一気に焼き、強火で片面30秒から1分程度の焼き目をつけるのがおすすめです。
焼きすぎると硬くなるので焼き目をつけたら中火や弱火で火を通すかオーブンで仕上げてください。
焼く前に表面の水分をしっかり拭いておくと焼き目がきれいにつきやすくなります。
漬け込み・下処理の時間と分量の目安

牛肉の臭みを和らげるには、漬け込み時間と分量を守ることが大切です。
肉の部位やカットの厚さで目安は変わるので、下の指標を参考にしてください。
牛乳・ヨーグルトの漬け時間と割合
牛乳やヨーグルトは乳酸とタンパク質で臭みをやわらげ、肉をしっとりさせます。
薄切りや一口大なら牛乳やヨーグルトに30分から1時間漬けると効果的です。
厚切りや塊肉は2時間から半日程度を目安にしてください。
割合は牛肉に対して牛乳やヨーグルトがひたる量を基準にすると失敗が少ないです。
- 薄切り:30分〜1時間
- 厚切り:2時間〜6時間
- 塊肉:半日〜一晩
- プレーンヨーグルトは酸味がマイルド
酒・ワインの漬け時間と割合
日本酒や焼酎、白ワインはアルコールと酸で臭みを飛ばし風味を加えます。
割合は肉1に対して酒またはワインが肉表面を覆う程度が基本です。
薄切りは30分程度、厚切りは1〜3時間が目安です。
強い香りが苦手なら加熱でアルコールを飛ばした出汁や割った水で調整してください。
赤身肉に赤ワイン、脂が多い部位には日本酒や白ワインが相性良好です。
重曹液の濃度と処理時間
重曹は匂いのもととなるアミン類のpHを変えて臭みを抑えます。
ただし濃度や時間を誤ると肉の食感が変わるので注意が必要です。
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処理後は流水でしっかり洗い流し、余分な重曹を残さないようにしてください。
濃度が高い場合は短時間に留めるのが原則です。
玉ねぎ・果汁マリネの時間目安
玉ねぎや柑橘果汁には酵素や酸が含まれ、臭みを和らげつつ風味を加えます。
薄切りや小さめの肉は30分から1時間のマリネで十分効果が出ます。
厚切りや塊は1〜4時間を目安にしてください。
果汁は酸が強いので長時間漬けると肉が締まって硬くなることがあります。
玉ねぎすりおろしは酵素が強いので、風味を考慮して30分ほどから試してください。
にんにくやハーブと組み合わせると臭み取りと香り付けが同時にできます。
部位別の効果的な臭み取り方法

部位ごとに臭みの原因や落とし方が異なります。
それぞれの特徴に合わせた下処理を行うと、風味がぐっと良くなります。
肩ロース
肩ロースは適度な脂と赤身が混ざった部位で、血や筋に由来する独特の香りが残りやすいです。
表面の血や汚れを流水でしっかり洗い流すことが基本です。
塩をふって10分ほど置き、水気を拭き取ると余分な水分と臭みが抜けやすくなります。
牛乳やヨーグルトに短時間漬けるとタンパク質が変性してまろやかになります。
酒やみりんを軽く振ってから焼くと香りが和らぎ、旨味が引き立ちます。
モモ肉
モモ肉は脂が少なく、火を通すとパサつきやすい反面、生臭さが気になることがあります。
厚切りの場合は筋切りをして均一に火を通すと臭みが残りにくくなります。
漬け込みで風味を整えるのがおすすめです。
- 赤ワインベース
- 醤油とにんにく
- レモン汁とオリーブオイル
- ヨーグルトとスパイス
短時間のマリネでも香りが改善されるので、調理前に10分〜1時間を目安に漬けてください。
バラ肉
バラ肉は脂が多く、脂独特のくどさが臭みと受け取られることがあります。
脂を落としながら旨味を残す調理法が効果的です。
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下茹でをする場合は湯を一度捨てて新しい水で仕上げると臭みがより取れます。
仕上げに青ねぎや生姜を合わせると脂の重さが和らぎます。
牛すじ
牛すじはゼラチン質が多く煮込むと旨味が出ますが、下処理が不十分だと臭みが残りやすいです。
まずたっぷりの水で下茹でしてアクを取り除きます。
一度湯を捨てて流水で洗い、臭みの元をしっかり落としてください。
圧力鍋や長時間煮込むことでゼラチンが溶け出し、臭いが和らぎます。
仕上げに生姜や昆布、赤ワインを加えると臭みが抑えられてコクが出ます。
内臓(ホルモン)
内臓は部位によって臭いが強く出やすいので念入りな下処理が不可欠です。
膜や脂肪、内腔の汚れは包丁で丁寧に取り除いてください。
塩もみや小麦粉でこすって汚れとぬめりを落とす方法が有効です。
短時間の酢や牛乳浸けで匂いを和らげる調理法がよく使われます。
下処理後は高温でさっと焼くか、しっかり煮て余分な香りを飛ばすと食べやすくなります。
臭みと腐敗の見分け方

牛肉の臭みと腐敗は見た目や触感、臭いの違いで見分けられます。
いくつかのポイントを組み合わせて判断することが安全性の判断につながります。
色の変化
新鮮な牛肉は酸素に触れると鮮やかな赤色になります。
真空パックのものは開封前は紫がかった色に見えることがあり、必ずしも劣化ではありません。
表面が著しく茶色や緑がかっている場合は酸化や腐敗の可能性が高くなります。
色だけで判断せず、臭いや粘りなど他の項目と合わせて確認してください。
粘りと表面の状態
表面にぬめりや強い粘着感がある場合は細菌が繁殖しているサインであることが多いです。
見た目や触感でチェックすべきポイントは次の通りです。
- 表面の粘着感
- 白っぽいぬめり
- カビの斑点
- 表面の乾燥やひび割れ
ぬめりがあり、かつ酸っぱい臭いや変色が伴う場合は加熱しても安全とは言えないため廃棄を検討してください。
異常な酸っぱい臭い
牛肉にはわずかに鉄分や血のような匂いがあるのが普通です。
酸っぱい匂いやアンモニア臭、腐敗臭のような強い不快な匂いがする場合は腐敗の疑いが強くなります。
軽い獣臭や脂の香りは調理で和らげられることが多いですが、酸味は取り除けないため注意が必要です。
匂いを判定する際は、袋を開けてすぐに強い臭いがするかどうかを確認してください。
賞味期限と保存状況の確認
賞味期限や消費期限の表示は安全判断の重要な手がかりになります。
保存温度や包装状態によって同じ期限でも安全性が変わることがあります。
保存場所 | チェックポイント |
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保存状況や期限と、色・粘り・臭いの総合的な判断で安全かどうかを判断してください。
臭み取りと相性の良い調理法

牛肉の臭みは調理法によって和らげたり消したりできることが多いです。
調理の過程で水分や脂、香り成分をどう扱うかがポイントになります。
煮込み料理
低温で時間をかけて煮込むと筋や余分な脂が柔らかくなり、臭みが目立ちにくくなります。
一度お湯で軽く下茹ですると血やアクが抜けて仕上がりがすっきりします。
生姜やネギの青い部分、香味野菜を一緒に煮ると臭みを吸着して風味が移ります。
煮込みの最後に酸味のある調味料を少量加えると、臭みが中和されて味に深みが出ます。
カレー・シチュー
スパイスやトマト、乳製品など強い香りや酸味のある素材は牛肉の臭みと相性が良いです。
- ヨーグルトや乳製品でのマリネ
- トマトやトマト缶の酸味
- クミンやコリアンダーでの香り付け
- 炒めて加える玉ねぎのカラメル風味
- ココナッツミルクでまろやかさをプラス
香辛料は炒めて香りを立たせてから加えると臭みを包み込みやすくなります。
シャリアピン風ステーキ(玉ねぎマリネ)
玉ねぎに含まれる酵素が肉のタンパク質を分解して柔らかくし、同時に臭みを和らげます。
薄切り玉ねぎと一緒に時間をかけてマリネするのが効果的です。
材料 | ポイント |
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マリネ後は強火で短時間に焼いて香ばしさを付けると、玉ねぎの甘みと肉の旨味が引き立ちます。
ハーブ・スパイス焼き
ローズマリーやタイム、ローリエなどのハーブは焼き物で芳香を付けつつ臭みを隠します。
スパイスは軽く乾煎りしてから擦ると香りが強く出て、肉の臭みを打ち消します。
ハーブやスパイスをオイルに混ぜて肉に塗ると、香りが均一に移って焼き上がりが安定します。
焼いた後に少し休ませると内部のジュースが落ち着き、風味が馴染んで臭みが目立ちにくくなります。
家庭で実践できる臭み対策のチェックポイント

家庭で実践できる臭み対策は下処理と調理、保存の工夫が基本です。
肉は鮮度を確認し、余分な脂や筋膜を切り落とすだけで臭みを大きく軽減できます。
牛乳や薄い塩水、酒に短時間つける下処理や、すりおろした生姜やにんにくを使った下味が有効です。
焼くときは強火で表面をしっかり焼き締める、煮るときは香味野菜を加えて臭いを飛ばすとよいです。
調味料は酢や柑橘類、香草でアクセントを付けると臭みが気になりにくくなります。
調理後は速やかに冷ますか冷蔵し、保存は密閉して早めに使い切ることを心がけてください。