家庭や外食で焼いたステーキを切ると固く感じたり、旨味が逃げてがっかりしたことはありませんか。
繊維の向きや厚さ、部位・焼き加減・骨の有無で最適な切り方は変わり、知らないと味と食感を損ねてしまいます。
この記事ではステーキの切り方をプロのコツと道具選び、テーブルでのスマートな切り方まで分かりやすく解説します。
そぎ切りや角切り、部位別・焼き加減別の実践テクニックと、すぐ使えるチェックリストも用意しました。
まずは繊維の見分け方と基本の切り方から確認していきましょう。
ステーキの切り方

ステーキは切り方で食感や味わいが大きく変わります。
切り方を工夫すると噛みやすくなり肉本来の旨みをより感じられます。
包丁の入れ方や厚さの目安を押さえておくと家庭でもレストランのような仕上がりになります。
繊維の見分け方
肉の表面に走る線が繊維の方向です。
繊維は脂肪や筋膜の近くで折れ曲がることがあるので全体をよく観察してください。
繊維に対して垂直に切ると短い繊維になり噛みやすくなります。
光を当てると繊維が見えやすくなるのでキッチンライトの下で確認すると便利です。
そぎ切り
そぎ切りは薄く斜めに削ぐように切る方法です。
薄く切ることで柔らかさを感じやすくなりソースの絡みも良くなります。
- 包丁を寝かせ気味にする
- 斜め45度を目安に刃を入れる
- 一気に引くように切る
- 切り終わりは刃を滑らせる
切るときは手元を安定させて怪我に注意してください。
一口サイズの目安
一般的に一口で食べられるサイズは幅2〜3センチ程度です。
高級な赤身や厚切りステーキは少し大きめにして肉の風味を楽しむのも良いです。
子どもや高齢の方がいる場合は1.5〜2センチに揃えると食べやすくなります。
食卓の用途に合わせてサイズを調整すると取り分けがスムーズになります。
切る厚さの目安
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厚さは調理時間や焼き加減に直結しますので事前に決めておくと失敗が少ないです。
骨付きステーキの切り方
骨付きはまず骨の周りの肉を削ぎ落とすように切ると扱いやすくなります。
骨に沿って包丁を入れ、肉を骨から切り離す感覚で進めてください。
骨を持って安定させながら切ると力が入りやすく安全です。
食べるときは骨に沿ってスライスし、食べる部分ごとに切り分けると取り分けが楽になります。
角切り(サイコロ状)
角切りはまず繊維に沿って厚めのスライスにします。
スライスした肉を重ねて縦横に切ると均一なサイコロ状に切れます。
煮込みや串焼き用には2〜3センチ角が目安です。
サイコロにすることで表面積が増え味が染みやすくなります。
ステーキの切り方に適した道具

ステーキを美しく切るには道具選びがとても重要です。
適した道具を使うことで切りやすさと仕上がりが大きく変わります。
シェフナイフ
シェフナイフは家庭でのステーキカットに万能な包丁です。
刃渡りは20cm前後が扱いやすくおすすめです。
薄めの刃先は滑らかなスライスに向いています。
切るときは刃全体を使って前後に滑らせるイメージで動かすときれいに切れます。
握り方は柄をしっかり握りつつ、人差し指と親指で刃元を軽く挟むと安定します。
ステーキナイフ
テーブルでそのまま切るならステーキナイフがあると便利です。
セレーション(ギザ刃)とスムース(滑らか刃)のどちらかを用途で選びます。
- セレーション:力を入れずに切れる
- スムース:きれいな断面が出る
- 持ちやすい柄:食事中の扱いやすさが向上
まな板
まな板の素材と大きさは切りやすさに直結します。
硬すぎない素材を選ぶと刃を傷めにくくなります。
種類 | 特徴 |
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木製 |
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プラスチック |
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合成素材(ポリエチレン等) |
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フォークとトング
フォークで肉を刺すと肉汁が出やすくなるため注意が必要です。
安定させるときはフォークで軽く抑えるかトングで挟むと良いです。
トングは肉を持ち上げるときや回転させるときに便利です。
切るときはトングでしっかり固定して、ナイフはゆっくりと引くように動かします。
ナイフ研ぎ器
切れ味が悪いときは研ぎ器で定期的にメンテナンスしてください。
砥石は仕上がりが良く長く使えるためおすすめです。
電動式は手早く仕上げたいときに便利ですが、使い方に注意が必要です。
研ぐ角度は刃の種類に合わせて15度から20度程度を目安にすると良いです。
研いだら必ず水で洗い、乾燥させてから保管してください。
ステーキの切り方で繊維の扱い方

ステーキは繊維の向きと切り方で食感が大きく変わります。
繊維を意識して切るだけで、同じ肉でもやわらかく感じられるようになります。
ここでは繊維の見つけ方と実際の切り方のコツをわかりやすく説明します。
繊維の方向
肉の繊維は焼く前でも焼いた後でも目で見て確認できます。
繊維は細長いラインとして走っていることが多く、指で触ると向きがわかりやすくなります。
厚い塊肉は中心部と端で繊維の向きが変わることがあるので全体をよく見ることが大切です。
焼き上がり後は肉が縮んで繊維の立ち方が変わることがあるので、切る前にもう一度方向を確認してください。
繊維断ち
繊維断ちとは繊維に対して直角に切ることで、噛んだときに繊維が短く感じられる切り方です。
繊維断ちは特に硬めの部位や厚切りのステーキで効果を発揮します。
ポイントは包丁を引くときに刃先を使って一気に切ることと、切る厚さを揃えることです。
- やわらかさアップ
- 一口で噛み切りやすい
- 食べやすいサイズに揃う
斜め切り
斜め切りは断面積を広くして食感をよく見せる切り方です。
厚みのあるステーキを斜めに薄く切ると、ひと口で食べやすくなります。
包丁は軽く手前に引きながら滑らせるように動かすと断面がきれいに仕上がります。
切る角度は用途に合わせて変え、薄切りにしたいときは浅めの角度にするとよいです。
そぎ切りの角度
そぎ切りは包丁を寝かせ気味にして肉を薄く斜めにそぐように切る方法です。
角度を調整することで食感や見た目をコントロールできます。
以下はそぎ切りの目安となる角度と厚さの例です。
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部位別のステーキの切り方

部位ごとに肉質や繊維の向きが異なるため、切り方を変えると食感と旨味が大きく変わります。
以下では代表的な部位ごとの切り方とポイントを分かりやすくまとめます。
サーロイン
サーロインは脂と赤身のバランスが良く、ややしっかりした繊維があります。
焼き上がりを均一にするにはステーキ本体の厚さを揃えてカットするのが基本です。
食べやすくするには繊維に対して直角に、1.5cm〜2cm程度の厚さで切ると良いです。
リブロース
リブロースは霜降りが多く柔らかい部位なので、厚めに切ってジューシーさを楽しむのがおすすめです。
焼く前は常温に戻してから焼き、切る際は繊維に対して直角にカットすると食べやすくなります。
脂の部分は包丁で軽く落ち着かせてから切ると切りやすくなります。
ヒレ
ヒレは繊維が細かく非常に柔らかい部位なので、厚めの一口サイズに切るのが向いています。
一般的には2.5cm〜4cmの厚さで切り、焼き上がりはレア〜ミディアムがおすすめです。
切るときは断面を美しく見せるために真っ直ぐに引くようにスライスしてください。
ランプ
ランプは赤身の旨味が強く、繊維がやや粗めの部位です。
繊維を断つように薄めに(5mm〜8mm程度)斜めに切ると柔らかく感じます。
焼き加減はミディアムレアが合いやすく、切ってから少し休ませると肉汁が落ち着きます。
ハラミ
ハラミは横隔膜に近い部位で独特の繊維があるため、切り方が特に重要です。
繊維に対して直角に薄く切ると歯切れがよくなります。
- 厚さ:薄切り(5mm〜8mm)
- カット方向:繊維に直角
- 調理:強火で短時間で仕上げる
- 休ませる:切る前に数分休ませる
下味をつけて焼いてから切ると風味がまとまりやすくなります。
骨付きロース
骨付きロースは骨が旨味を保つので、切り分け方で見栄えと食感が変わります。
提供するサイズによっては骨ごと焼いてから骨に沿って食べやすい大きさに切り分けるのが良いです。
骨の間を狙って均等に切ることと、切る順序を決めてから作業すると失敗が少なくなります。
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焼き加減別のステーキの切り方

焼き加減によって肉の温度や内部の状態が変わるため切り方も変えると食感がよくなります。
どの焼き加減でも基本は繊維に対して直角に切ることと休ませることです。
レア
中心が赤くジューシーなレアは薄めに切ると肉のやわらかさが際立ちます。
休ませ時間は短めが良く、焼き上げから2〜3分程度置いてから切ると汁が落ち着きます。
切る厚さは約4〜6mmが目安です。
繊維を断ち切るように包丁を入れ、スライスは一気に滑らかに引くと断面がきれいになります。
ミディアムレア
中心がピンク色のミディアムレアはやや厚めに切ると旨みを感じやすくなります。
休ませ時間は3〜5分程度が適切です。
- 厚さ: 約6〜8mm
- 休ませ: 3〜5分
- 切り方: 繊維に直角
- 包丁の角度: やや斜めで薄くスライス
ミディアム
中がほんのりピンクのミディアムは食べごたえとジューシーさのバランスが良い焼き加減です。
休ませ時間は5分前後で、切るときはやや厚めにして肉の噛み応えを残すと満足感が出ます。
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ウェルダン
しっかり火が通ったウェルダンは内部の水分が抜けやすいので厚めに切るのがおすすめです。
休ませ時間は5分以上、場合によっては10分近く置くと落ち着きます。
切るときは繊維を断ち切る方向に対して直角に切り、噛み切りやすい幅を保つと食べやすくなります。
ソースやバターを少量添えると口当たりがまろやかになります。
テーブルでのステーキの切り方

ナイフとフォークでスマートに食べられる切り方を知っておくと食事の印象が変わります。
肉の繊維を意識して切るとやわらかく感じられます。
切る力を入れすぎず、包丁のような大胆な動きではなく落ち着いた操作を心がけると見た目も美しくなります。
ナイフの向き
ナイフは肉の繊維に対して直角に近い方向、つまり繊維を断ち切る向きに向けます。
少し斜めに入れると切りやすく、断面がきれいに仕上がります。
ナイフの先端で突き刺すような切り方は避けて、刃全体を使って引くように動かすと良いです。
ナイフの持ち方
ナイフは親指と人差し指で刃元を軽くつまむように持つと安定します。
手首を使って小さく滑らせる動きで切ると肉がつぶれにくくなります。
反対の手でフォークを使い、肉を軽く押さえて動かないようにすると安全に切れます。
一口での食べ方
一口で食べられるサイズに切ると食べやすく、見た目も整います。
口に入れたときに噛み切れる厚さを目安に切ると良いです。
- ひと口サイズに切る
- 脂身と赤身をバランスよく
- ナイフで切った面を上にして盛る
箸で食べる場合の切り方
箸で食べるときも繊維を断つ考え方は同じです。
箸で切る場合は小さな力で何度かに分けて割くようにするのがコツです。
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硬いステテーキの切り方

ステーキが硬く感じる主な原因は筋や肉の繊維の向きにあります。
切り方を工夫すると噛み切りやすくなり食感がかなり改善します。
スジ切り
筋やスジは食感を悪くする大きな要因です。
表面の白い筋や筋膜を見つけたら包丁やハサミで処理します。
- 包丁はよく研いだもの
- キッチンバサミで大きな筋を刻む
- 筋に対して直角に浅く切る
- 筋を切ったら仕上げに薄く削ぐ
薄切り
薄く切ることで噛む回数が減り柔らかく感じやすくなります。
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繊維に沿わない切り方
まず肉の繊維の向きを確認してください。
繊維に対して直角に切ると噛み切りやすくなります。
斜めにスライスすると断面が広がり柔らかさが増します。
厚みは5mm前後を目安にすると食感とジューシーさのバランスが良くなります。
切る前に常温で少し休ませると肉汁が落ち着き切りやすくなります。
短く引くように切ると繊維が潰れにくく美味しく仕上がります。
すぐ使えるステーキの切り方チェックリスト

焼き上がりの休ませは必須です。
肉の繊維を確認して繊維に垂直に切るとやわらかく感じます。
包丁は十分に研ぎ、軽く引くように切ると断面がきれいになります。
切る角度は30〜45度を目安にすると口当たりが良くなります。
厚さは1.5〜2cmを基準にして好みに応じて調整してください。
切る前に塩を振った時間や休ませた時間を確認して味を安定させます。
スライスは重ねすぎず切り口を見せて並べると見栄えが良くなります。
このチェックリストを覚えておくと家庭でも簡単においしいステーキの切り方が実践できます。